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AI現場力

「和ノベーション」で圧倒的に強くなる

ローランドベルガー

長島 聡

本著では、ロボット主義ではない希望と豊かさに満ちた未来を目指し、日本型のイノベーション量産手法である「和ノベーション」の考え方を紹介しています。この言葉には、日本の「和」に加え、対話の「話」、仲間の「輪」の意味も含まれます。

欧米に比べ、日本企業の競争力や生産性の低下が指摘される中、企業が新たな価値を生み出すスピードも競争も厳しさを増すばかり、人々は世の中の急速な変化に追いつくのがやっとで、目先のことしか見えなくなりつつあります。この背景には、既に世の中にある「ありもの」を知らずに毎回ゼロベースで考えることで、たくさんのムダが生じていることがあると考えられます。

そ うした中、日本企業にとってヒントとなるのがVWやベンツなど自動車メーカーを中心に大きな成果をあげてきたモジュール戦略です。製品を効率的に、またス ピーディーに生み出すための手法を取りまとめています。この手法がホワイトカラーの生産性向上にも活かせるのではないでしょうか。

企業は個人が持つさまざまなノウハウ、技術、知恵などの「暗黙知」をモジュール=「ありもの」 を形式知化し、徹底的に活用する。これを異次元のスピードで回し、新たな価値を生み出していこうというものです。

オープン・イノベーションの時代には、「対話」を通じたこうした取り組みを社内だけではなく、社外でも実践をするのです。AI やロボットなどのテクノロジーを能動的に使いこなすことで、顧客と企業や企業内の対話の促進が可能となります。対話を通じて、部門、企業、あるいは業界を超えて、人の輪、仲間の輪を広げていくべきではないでしょうか。

インダストリー4.0で先行するドイツの現場では、天才依存型の世界が進んでいます。

一部のエリート・チームが産業をまたがる企画や戦略を練り、ブルーカラーは無駄な作業をせず、指示を忠実にこなすのです。
他方、日本の現場は大きく異なります。日本は総じて、少数の考える人が全てを企画するのではなく、大部屋で、みなが知恵を出し合い、企画をまとめるという文化を育んできました。現場の一人ひとりが考え、部門をまたぎ、多様な人が公式・非公式に交流し、刺激しあい、それぞれの力を結集・結束させることは日本企業の強みなのです。

マツダ、VW、ミスミ、デンソーといった大手企業から、プリファードネットワークス、由紀精密、IBUKI、リンカーズ、アスタミューゼといった中堅・新興企業まで、多数のケースを用いて詳しい解説を加えています。

発行元:日本経済新聞出版社
発行: 2017年7月26日
http://www.nikkeibook.com/book_detail/32155/


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