福田稔
福田稔
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中長期的に国内アパレル市場は下げ止まるのだろうか?

国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2010年に約1億2800万人だった日本の人口は、2030年には約1億1900万人にまで減少する(出生中位・死亡中位の場合/平成29年1月推計)。

そして、実にその3分の1近くが65歳以上の高齢者となる。ちなみに、人口推移は未来を考える際、最も予測が立てやすく予測幅の小さい事象の1つであり、将来を考えるうえで前提とすべき数値である。

この中でポジティブな要素をあげるとすると、現在45歳前後の第2次ベビーブーマーの団塊ジュニアが、2021年以降アパレル消費が最も大きくなる50代に突入し、2030年過ぎまで一定の市場を形成することがある。

実際、最近国内のアパレル消費が下げ止まりつつあるのも団塊ジュニア周辺の比較的ボリュームがある世代が、働き盛りで消費の中心となっていることが大きい。

しかしながら、アパレル業界だけでなく国全体に関わる大きな社会問題がある。それは、2024年に団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、社会保障費が大きく膨らむと同時に介護問題が現役世代に重くのしかかるということだ。

増税により現役世代の可処分所得は益々減るだろうし、共働きで世帯収入を維持していた家庭も介護離職を余儀なくされるケースが増えるだろう。マスコミのニュースはこのような問題を連日取り上げ、社会全体に停滞感が漂う可能性が高い。

また、この問題に対する対策として期待が大きいロボットの活用は、アパレル消費そのものには寄与しない(アンドロイド型のロボットが普及し、ロボットが衣服を必要とするようになれば別だが)。

こう考えると世帯あたりのアパレル消費額の下げ止まりはおこらず、むしろ団塊世代が75歳になりはじめる2022年あたりから更なる減少が顕著となる可能性が高い。市場は現在の9兆円から減少の一途をたどり、2030年には7兆円を下回る可能性するある。

その場合、世帯当たりの消費額で中国に抜かれるのは避けられない。残念ながら、現在はインバウンド需要と世代交代の端境期による一時的な安定期であり、皆が幸せでいられる最後の過渡期なのだ。

余力があるうちに、少しでもグローバル化を進めること、これが国内アパレル企業が今取り組むべき経営課題として大きい。

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