福田稔
福田稔
プリンシパル / 東京オフィス / +81 3587-6660

 アパレルにおける消費行動を大きく「選ぶ」と「買う」に分けると、テクノロジーはこの双方に大きな影響を与え多様化をもたらした。

 第一に「選ぶ」である。弊社の経験では、消費者はファッションに関心が高く自分で衣服を選べる2割の能動的な消費者と、関心は程々で衣服の選択においてサポートが必要な8割の受動的な消費者に分けることが出来る。前者の2割は、雑誌やSNSなどの情報や、実際のトライ&エラーにより、ファッションスキルを自ら高めていくことができる消費者である。このような人は、デジタル化に伴いファッションに関して受発信する情報量が飛躍的に拡大している。結果、一部はインフルエンサーやプロシューマーと呼ばれるにまで進化し、編集者やスタイリストが担っていた役割を代替するまでとなった。

 一方、残り8割の受動的な消費者の「選ぶ」に対しては、テクノロジーは別の形で影響を与えている。

元来この人たちの「選ぶ」に大きな影響を与えていたものはトレンドと販売員であった。昨今トレンドは細分化し影響力を下げているが、販売員は未だ強い影響力を持っている。ところが、消費行動においてECでの購買が当たり前となったことで、販売員の影響力が低下している。特に若い世代においては顕著だ。

 このようにテクノロジーにより伝統的な衣服の選び方が弱まる一方、テクノロジーが消費者の「選ぶ」をサポートするようになっている。チャットボットやレコメンデーション広告はその典型だ。

 また、「買う」においても多様化が進んでいる。10年前は、服を買うというと中古もあったが市場の殆どは新品購入であった。しかしながら、CtoCサービスの普及により中古品の流通量は飛躍的に伸びている。新品購入においても、ECの浸透に伴いDtoCと呼ばれるブランドから消費者への直販が増えている。更には、レンタルの普及に伴い、そもそも服を買わないという選択肢も登場した。

このように、衣服の「選び方」、「買い方」は、テクノロジーが生んだ様々なサービスにより、大きく変容し多様化した。そして、この行動変化は現在過渡期にあり、前述した8割のファッションを主体的に選べない人の買い方がまだ定まっていない段階だ。今後のアパレル業界で勝ち残るための一つのポイントは、この新しい服の選び方、買い方のスタンダードをいかに作るか、そして制するかにある。

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