小野塚征志
小野塚征志
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2020年12月22日、有識者を集めた政府の検討会において、次期「総合物流施策大綱」の策定に向けた提言が取りまとめられた。その内容は、以下の3つによって構成される。

提言1: 物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化
提言2: 労働力不足対策と物流構造改革の推進
提言3: 強靱で持続可能な物流ネットワークの構築

特筆すべきは、「提言1: 物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」である。「物流DX」を国家戦略として進めていくべきと提言したに他ならないからだ。

同提言では、「物流DX」を「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」と定義づけた。「既存のオペレーション改革・働き方改革の実現」に加えて、「物流システムの規格化などを通じた物流産業のビジネスモデルそのものの革新」であることも明記されている。「総合物流施策大綱」が政府における物流施策や物流行政の指針となることを考えると、ビジネスモデルの変革・進化を促進するための規制改革が進むことも期待できよう。

「物流DX」では、物流のこれまでのあり方を変革するにあたって、「物流分野の機械化」と「物流のデジタル化」の2つを取り組みの柱としている。現状の物流現場が総じてアナログ的なことを考えると、デジタル化のみを進めるのではなく、機械化を同時並行的に推進することが有効だからである。

物流の現場では従来からデジタル化が求められてきた。しかしながら、中小の事業者が大多数を占めることもあって、未だに電話やFAX、紙の伝票が少なからず使用されている。デジタル化を錦の御旗に掲げても、現場を変えるには至らなかったということだ。

翻って、物流の現場はかつてないほどの人手不足に陥っている。生産年齢人口は減少する一方で、ECの伸長によりラストワンマイルの配送に対する需要は顕著に増加した。新型コロナウイルス感染症の流行による巣ごもり消費の拡大は、この需給の差を尚一層広げることとなった。足元では、荷物を運びたくても、運んでくれる物流会社を見つけられない状況も生じている。今ある物流ネットワークのサステイナビリティを担保するためには、機械化・自動化を大胆に進めることで、脱労働集約を図らざるを得ない。あるいは、現在の危機的な状況は、「これまで進捗してこなかった物流のデジタル化や構造改革を加速度的に促進させる好機」とも捉えられる。

現場に機械・システムを導入するためには、業務プロセスをデジタル化することが求められる。かくして、人手不足に対応するための機械化・自動化は、デジタル化をも促し、延いては、「物流DX」の実現に向けた基盤を整備することにもなる。「物流分野の機械化」は、「物流DX」を牽引する取り組みといっても過言ではないはずだ。

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