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ニューノーマル時代の組織とHRテック

福田稔
福田稔
パートナー / 東京オフィス

組織・働き方の見直しに迫られる企業

 

少子化やビジネスサイクルの短期化により、旧来型の終身雇用経営は難しくなっている。価値観の多様化と生産人口が減少していく中で、競争力を維持・高めるためには、外国人・女性・シニア・非正規・副業・フリーランスなど多様な人材を活用してくことが必要だ。そのためには、組織・働き方改革が不可欠である。

コロナ禍は、組織・働き方における改革を進める契機となっている。一気に進んだリモートワークで、個人の貢献度は見える化され、付加価値の低い社員やいわゆる窓際社員は浮き彫りにされるようになった。

 

組織改革にHRテックを組み合わせる

 

企業がこれら課題に対処しつつ持続的な成長を果たすためには、HRテックを組織改革にいかに効果的に導入していくかがカギとなる。HRテックとは、企業や組織・従業員のデータを集積し、採用やタレントマネジメント、労務管理、従業員エンゲージメント向上などのソリューションを提供するテクノロジーを指す。

組織改革では、まず会社のあるべき姿を見据え、それを実現する組織のあり方を定義する。そして、理想の組織のあり方と現状とのギャップを認識し、ギャップを埋めるための施策を講じていく。ここにHRテックを活用することで、その効果と改革のスピードを最大化することができる。

[組織改革におけるHRテックの活用の方向性]

① タレントマネジメント・評価
社員の能力や成果が一元データベース化されたシステムを指し、理想的な組織の枠組み、異動方針やチーム構成等を最適化できる。また、リモートやジョブ型で複雑化した人材評価においても成果や能力をデータ化し、効率的で納得感がある評価体制を構築できる。

② 採用管理・育成
あるべき組織や業務を定義しつつ、採用管理システムの活用で社内に必要な人材の採用要件を取りまとめ、 募集広告等とタイムリーに連動する。副業等の導入で複雑化す る採用プロセスも最適化される。育成ではハイパフォーマーの特性を AIで分析した教育プログラムも構築し得る。

③ 従業員エンゲージメント
社員のメンタル状況やエンゲージメ ントの強さを定期的に測定し、先回りの組織施策につなげる。たとえば、Uniposが提供する従業員同士が感謝の気持ちをピアボーナスとしてデジタル上で送りあうシステム等、組織・企業文化をデジタルで醸成するソリューションも登場している。

④ 労務管理
従来の内製システムでは労務管理の複雑化に対応することは難しく、HRテックの導入によるペーパーレス化、効率化が有効な領域である。また、部門別の残業時間等の労務データを活用すれば、生産性の向上施策の検討に繋げることもできる。

CXに向け、経営者はHRテックへの理解と意識強化が必要

 

HRテックは、単なる業務効率化手段ではない。組織・働き方改革とセットであるべき組織を実現するための経営手段であり、コーポレイトトランスフォーメーションを行ううえで必要なピースだ。

効果的な HRテック活用としては、以下の観点に留意したい。

1. 前提として、経営者があるべき組織の姿を明確化する。 それを実現するために、どのような観点で HRテックを導入するのかという目的を明確化し、社内で共有する

2. KPI、KGIを設定し、定量的に導入の効果を把握する

3. 優先順位をつけ、スモールスタートではじめる

更には、増え続ける人事・組織周りのマネジメント負荷を、どうコントロールしていくかという観点も重要だ。

たとえば、当該領域の一部は非競争領域と捉えてグループ企業で協調していくという方向性も考えられる。大企業であれば HR テック機能を内製化し、後に外販という事業の広がりもあるだろう。 人事・組織周りをおさえることで、強い組織、動ける組織に繋げることができる。

ローランド・ベルガーでも、 HRテックや組織・働き方改革について、豊富なプロジェクト実績や知見を有している。

 

(共著:プリンシパル 呉昌志、シニアプロジェクトマネージャー 石毛陽子)

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