RolandBerger 編集部
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/ 東京オフィス

By Stefan Riederle and Wolfgang Bernhart

 

急拡大をみせるEV市場

 

昨年、世界の自動車市場がコロナ感染症で大きく混乱する中、ドイツを中心に電気自動車販売台数だけは、流れに逆らうように急増した。「E-Mobility Index 2021」の著者たちによると、ドイツの自動車産業は、政府が設定した高いCO2削減目標をほぼ達成できるはずだと述べる。

一方、世界の地域ごとに、売上の格差も生じている。例えば、2020年では、中国や米国の電気自動車市場は緩やかに成長したが、日本では販売不振を記録した。

最新の「E-Mobility Index 2021」は、ローランド・ベルガーとfka GmbHが共同で調査・発行したレポートで、その調査は技術・産業・市場の3つの指標に基づいている。これらの指標を使うことで、自動車先進国である中国・ドイツ・フランス・イタリア・日本・韓国・米国におけるe-Mobilityの現状を客観的に把握することが可能だ。

電気自動車の走行距離の拡大、国からの補助金や購入奨励金制度の導入により、e-mobility分野は大きく成長している。

ブレイクスルーを果たしたEV

 

ドイツだけでも、2019年の電気自動車販売数はわずか11万2,000台だったが、2020年ではその3倍以上の約40万台を記録。市場全体に占めるドイツの電気自動車のシェアは12.6%(2019年:2.9%)に拡大した。ドイツは現在、中国に次ぐ世界第2位の電気自動車市場となっている。

本調査の対象となった他の2つの欧州市場でも、大きな盛り上がりを見せた。フランスは、2020年に19万4,000台(2019年:6万9,000台)、イタリアでは6万1,000台(2019年:1万8,000台)となった。欧州におけるこの市場の伸びは、主に政府が支援するEV購入への補助金が起因しているとみられる。例えばドイツにおける公的機関やメーカーの場合、完全な電気自動車に対しては最大9,000ユーロ、プラグインハイブリッドカー(PHV)に対しては最大6,750ユーロの購入補助金が充てられる。

供給量の伸び

 

EV車の生産量が伸びていることも、EVの拡大に貢献する要因となった。2020年にはほぼすべての自動車メーカーが新モデルを発売し、ドイツでは純電気自動車15種類とプラグインハイブリッドカー20種類が発売された。そして、今年は、さらに14種類の純電気自動車がドイツの自動車業界に導入される予定だ。
ドイツに先んじているのは米国のみだが、同国は2021年に20種類の純電気自動車の導入が見込まれている。中国とフランスは、今年、それぞれ11種類の純電気自動車が導入される予定だ。

前年度に引き続き、自動車メーカーたちは2020年に電気自動車の生産能力を増強させた。とはいえ、このように自動車の生産台数が増加したにもかかわらず、納品待ちが出るほど急増した需要に追いつかなかった。

今後の自動車業界における3つの課題

 

本研究の著者たちは、市場の発展により、欧州の自動車メーカーは平均的な排出削減目標である95g CO2/kmを達成できると推定している。2021年以降、EUで新たに登録される車両はすべてこの目標に適合しなければならない。

しかし、自動車業界には、今後3つの課題が残されている。

1つ目は、目標の引き上げだ。欧州委員会では、自動車の温暖化対策のための目標をさらに引き上げている。これにより、2030年に新規登録される自動車のCO2排出量は平均50%削減されることになった。これまでは、新車のCO2排出量を37.5%削減することが求められていた。

2つ目は、ハイブリットカーの有用性。プラグインハイブリッドカーに、ほとんどの製品において、実際の消費率が実験よりも2〜4倍高いことが分かっている。その結果、政治家や気候変動団体からは、電気自動車に比べてプラグインハイブリッドカーの税制優遇措置を縮小するよう求める声が高まっている。

3つ目は、生産過程でのCO2排出だ。将来的には、より多くの規制当局が自動車が生産されてから廃棄されるまでのライフサイクル全体に注目していくだろう。使用時の排出量に加えて、原材料の採取や自動車の生産など、さらに上流で発生する排出量も関係する。自動車メーカーだけではなく、各部品メーカーなどのバリューチェーンを構成するすべてのサプライヤーが、電気自動車の生産におけるカーボンフットプリントを改善することが求められることになるだろう。

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