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戦略コンサルが挑むオープン・イノベーション

中野大亮
中野大亮
パートナー / 東京オフィス

価値共創ネットワークとは

 
ローランド・ベルガーは、欧州を出自としたグローバルの経営戦略コンサルティング会社である。グローバル全体においてはterra numerata(テラヌメラータ)というプラットフォームを設けて様々な提携企業を擁しているが、東京オフィスにおいても日本独自の提携プログラムを持っている。それが、価値共創ネットワークだ。

2021年10月現在、日本企業を中心に40社以上と連携しており、そしてその数は今も増え続けている。40社の事業内容は様々だが、AI、データアナリティクス、データオーナー、XRなどの技術・機能・強みを持ったスタートアップや先鋭的な企業たちだ。それぞれに対しローランド・ベルガー社内で担当を設け、定期的に協業仮説に関する議論を提携企業と行い、クライアントにその仮説を提案しながらプロダクト開発を進め、これまでにない新たなコンサルティングサービスを提供している。

提携企業があることによって、ローランド・ベルガーのサービスの幅は大きく広がっている。戦略コンサルティングと言えば、ポートフォリオマネジメント、事業戦略、コスト削減、BPRなど、代表的なものに収斂されがちだが、価値共創ネットワークによって、様々なコンサルティングサービスを提供することが可能になっている。そしてそれは、クライアント・提携企業・ローランド・ベルガーのwin-win-winにも繋がっている。

協業を成功させるための3つの力

 
もちろん価値共創ネットワークが担っている価値や機能を、自ら内製化ないしM&Aする選択肢もある。場合によってはそちらのほうが機動的に動かせるかもしれない。しかし我々はその選択肢を取らない。なぜなら、それらを内製しても陳腐化するリスクが高く、淘汰される可能性もある。

これから新しい事業や新しい価値を形成していくには、外部企業と連携し、密度の高いコミュニケーションをとりながら協業していくほうが、新たな価値を生みやすいと考える。

しかしながら、協業を成功させるには、コンサルタントとして3つの能力が必要だ。ひとつは「目利き力」。同じAIを扱うスタートアップでも、クライアントの課題解決にとってどんな技術がベストのか、企業同士の相性はどうか、見極める力が大切だ。

次に「統合力」。もし相性がいいと直感しても、違う頭を持った違う生き物である。これらをうまくまとめられるかどうかはコンサルタントの手腕にかかっている。

最後に最も重要なのが、「構想力」だ。クライアントと提携企業のそれぞれの強みを生かしてマーケットに対してどのような付加価値を創っていけるのか、その仮説を構想し実践することにある。これは、他のコンサルティング会社とは異なるアプローチであり、ユニークネスなのではないか。我々は、コンサルタントとして、この3つの能力を育てていくことが、未来のビジネスのあり方を占う中で非常に重要だと考えている。

段違いに広がるコンサルサービスの幅

 
実際に、戦略コンサルティングという領域をわが社がどんなメニューで広げているのかをご紹介したい。数年前ではなかなかできなかったことが今では段違いに広がっている。

 ・クライアントの特許情報・技術情報を活用した新規事業案の「量産」を支援
 ・組むべきスタートアップ企業を、領域・事業モデル・強みの観点からグローバルスケールで探索
 ・あらゆるタイプのプロシューマ―のニーズや不満を拾い上げて、新しい商品サービス開発を支援
 ・クライアントの有するデータを棚卸し、その規則性や見出すことで、それらを活用したデータビジネス開発を支援
 ・提携企業の画像診断処理技術をベースとしたメンテナンス戦略、さらにはO&M全体の最適化戦略を支援
 ・映像表現の力を用いた内外への戦略理解の浸透を支援
 ・提携企業と共同開発した需要予測AIによるSCM構築の支援
 など。

これらは、ローランド・ベルガーだけで遂行できるものではなく、また逆に提携企業だけでできるものでもない。戦略と固有の技術や強みが組み合わさってはじめて、サービスとして提供できるものである。

今後は、このJournalでの連載で、これらの具体的な内容を紹介する予定だ。

副次的な効果とこれから

 
コンサルティングビジネスという職業柄、クライアントからオープン・イノベーションについて相談されることも多い。そんな時にも、オープン・イノベーションを、まさに身をもって実行しているがゆえ、リアリティのある話ができる。成功談も失敗談も含めて、両社の関係性の設定、社内での担当のあり方、協業仮説の構築方法など、たくさんの論点がある。

また、こういった多様なプレイヤーたちと気軽にコミュニケーションできる場があることで、コンサルタントとして刺激やインプットを得やすいことも大きなメリットだ。社内にそういった場が組み込まれていることは、コンサルタントの視野を広げ、成長の機会に繋がるだろう。協業を推し進める核人材となってもよいし、提携企業に出向するケースもある。両社が交流するためのオンラインイベントも頻繁に催されている。これまでの伝統的な戦略コンサルティングサービスに従事するだけでない、多様な経験をここでは獲得できる。

ローランド・ベルガー東京オフィスとしては、価値共創ネットワーク企業との協業をより密なものにしていきたいと考えている。一社完結ではなく、ネットワークによる結びつきによって、新たな価値の創出や社会の課題解決がなされる世界を目指していきたい。それは、ひとつの色で進むのではなく、多様な色があるからこそ、それが混ざり合うことでイノベーションが生み出される世界だ。

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