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2050年の世界をつくるメガトレンド

RolandBerger 編集部
RolandBerger 編集部
/ 東京オフィス

(英語版より翻訳・編集)

より良い戦略を立てるために、大局観を持つ

 
2020年は、物事が予測とは違った方向に進むことがあるということを劇的に示した年だった。それでも、企業が戦略を立てるためには、将来のトレンドをしっかりと見極める必要がある。Roland Berger Institute(RBI)では、日々の喧騒から一歩引いて、本当に重要なことは何かを見極めるために、2050年までを視野に入れた調査報告書の新版「Roland Berger Trend Compendium」を作成した。

Roland Berger Trend Compendiumは、現在から2050年までの世界を形作る6つのメガトレンドで構成されている。これらは、経済的要因だけでなく、社会的、環境的、技術的、地政学的な変化を考慮している。これらのメガトレンドを認識し理解することが、今後の挑戦や機会の際、持続可能なソリューションを開発していくことに役立つ。

メガトレンド1:人と社会

人口動態 移住 価値観 教育

単なる人口統計を超えて、人と社会が私たちの思考の中核をなしている。人々は移動し、価値を頼りにし、学ぶことに熱心である。

人口動態について
2050年に向けた人口動向をみると、成長率や年齢構成など、地球全体で無数の変化を示唆しているだろう。2050年には、地球上の人口が現在より19億人以上増え、合計で97億人に到達する見込みである。2050年には320万人の百寿者が誕生するなど、地球社会の高齢化が進むが、年齢の中央値や高齢者扶養率には、大きな地域差が生じるであろう。2027年頃には、インドが中国を抜いて最も人口の多い国になる見込みである。

移住について
地域内および地域間の移動は、その複雑さゆえに、主に経済的な向上を求めて行われている場合が多い。国内避難民の場合は、国境内の紛争・暴力・災害などから逃れるために移動しているだろう。

価値観について
人間の自由の進化は、複雑な様相を呈しているだろう。人権や個人的、市民的、経済的な自由に基づく価値観についての世界的なコンセンサスは、グローバルパワーシフトとともに変化していくだろう。

教育について
プラス面としては、教育を長く受けることは今や世界的に標準となっている。国別の一人当たりのGDPと教育達成度の長さに正の相関関係がある曲線から判断すると、教育機関に長く在籍することは有益であると言えよう。

メガトレンド2:ヘルス&ケア

パンデミックとその他のワイルドカード — 病気と治療 — 介護

パンデミックに打ち勝つだけではない。政策立案者たちと医療専門家たちは協働し、現在と将来の健康に関する無数の課題を克服し、増大する介護のニーズを対処する解決策を見つけ出さなくてはならないだろう。

パンデミックとその他のワイルドカードについて
私たちはパンデミックに対して非常に脆弱である。このことは、2020年に明らかになったことであるが、同時に忘れてはならないのは、21世紀初頭に流行したSARS, ZIKA, MERS, エボラ などといった伝染病である。さらに、気候変動も健康リスクとして脅威を増してきている。現在も、そして2050年にも、世界中における医療へのアクセスと資金は非常に不均衡な状態のままであろう。

病気と治療について
ヘルスケアや医療技術に対する予測や期待は、技術的な進歩も含めて、多岐に渡る。すべてが実現するわけではないが、細胞や遺伝子治療は、最も有望なものの一つと言えるだろう。

介護について
認知症などの加齢性疾患の増加傾向は、コストのかかる介護の必要性が強くなることを示している。増え続ける高齢者とその複雑な介護ニーズを支えるためには、専門的な介護者の数が増えていく必要があるだろう。

メガトレンド3:環境と資源

気候変動と汚染 — 資源と原材料 — 生態系の危機

気候変動の緩和策を強化する必要がある。将来的には水・食料・原材料の枯渇が重要な問題となる見通しだ。生物多様性には資金が不足している。

気候変動と環境汚染について
2050年に向けて、国際社会は気候変動の緩和に向けた取り組みを強化しなければならない。そして、地球温暖化を2℃以下に抑えるという現在の目標については、再考の余地がある。最近では、上昇を1.5℃以下に留めることが、より安全であると考えられているのだ。そのためには、社会のあらゆる側面において、急速で広範囲にわたる、かつてないほどの変化が必要となる。

資源と原材料について
現在の軌道では、2050年の世界のエネルギーミックスは、依然として化石燃料が中心になると予想されている。CO2やその他の温室効果ガス以外にも、積極的かつ革新的な対策が必要な公害がある。5億人近くの人々が、過度の騒音による障害、主に仕事に関連した難聴に苦しんでいる。今後、水の需要は増加し、食料の需要も増加するだろう。人口が増加した世界を養うためには、より多くのカロリーが必要だが、同時に廃棄物を減らす必要もある。原材料には供給面での問題があり、中国は重要な原材料の主な供給国である。

生態系の危機について
世界的に見て、私たちはすでに陸上の生物種の3分の1を失っている。この傾向に歯止めをかけるためには、生物多様性対策とリスクにさらされている生態系のための資金を増やさなければならない。この資金は、世界のGDPの年間1%に相当すると推定されている。

メガトレンド4:経済・ビジネス

グローバリゼーション再考 — パワーシフト — セクター別の変革 — 債務問題

グローバルなバリューチェーンが見直されている。新しいパワーブロックが出現している。セクターごとの産業変革プロセスが進行している。パンデミックは世界の債務負担を加速させている。

グローバリゼーション再考について
世界金融危機以降、世界の成長率はほぼ半減し、グローバルなサプライチェーンが弱まり、国内での生産が増加する傾向にある。

パワーシフトについて
新たに発表されたアジアの貿易パワーブロックであるRCEPは、世界的な勢力としての地位を確立しつつある。このことはまた、貿易のしやすさという点で、既存の他のパワーブロックの将来の機会を浮き彫りにしている。

セクター別の変革について
セクター別の分析では、産業変革が重要な課題となっている。主な推進要因は、公益事業や自動車などのセクターにおける脱炭素化と新技術である。州や政府にとっては、コロナウィルスのパンデミックのコストもあって、国家債務レベルの上昇が課題となる。

債務問題について
世界経済が経済活動に大きな悪影響を及ぼすことなくデレバレッジを行うことができるかどうかについては、かなりの不確実性がある。今後10年間は、2010年代に行われた緊縮財政とは対照的に、リフレ的な財政対応が行われる可能性がある。

メガトレンド5:技術とイノベーション

テクノロジーの価値 — 人工知能 — 人間と機械

テクノロジーへの投資とイノベーション能力が鍵を握る。AIの進化は将来の大きな可能性と適用性を約束する。人間の価値への配慮が中心となる。

テクノロジーの価値について
テクノロジーとイノベーションが発展の原動力である一方で、そのような能力が欠如している途上国の場合、先進国と肩を並べるための大きなハードルとなっている。先進国では、量子コンピュータ技術、AI、サイバーセキュリティなど、将来に向けて高水準の投資を約束しているが、そのような水準は前述の途上国には手の届かないものである。

人工知能について
特にAIの分野では、これまで以上に明らかな数のテクノロジーがラインナップされており、また、パイプラインから出てきている。

人間と機械について
AIの専門家は、AI技術の能力がほぼ無限に進化すると予測している。このような強力な開発には、人間の価値観や主体性への懸念を織り交ぜた熱意をもって臨まれている。

メガトレンド6:政治とガバナンス

民主主義の未来 — ガバナンスと地政学 — グローバルリスク

民主主義的特性の衰退が加速 。独裁化の傾向と民主主義の疲労度の上昇が、グローバルガバナンスに将来的な課題をもたらしているだろう。グローバルリスクは環境問題が中心となる見通し。

民主主義の未来について
過去10年間で選挙による独裁国家が急増し、表現の自由の指標が低下傾向にあることから、自由民主主義の未来が脅かされていることがわかった。民主主義国は民主主義疲れを起こしているようで、国民のムードは不満レベルの上昇を示している。世界的に大きな選挙の年となる2024年、投票所で何が起こるのか、注目されている。

ガバナンスと地政学について
国際的なパワープレーは、新しい地政学的な同盟関係やライバル関係によって形成される中、グローバルガバナンスの未来は流動的であるように思われる。

グローバルリスクについて
グローバルガバナンスの失敗は、今後10年間で最も可能性の高い地政学的リスクである。この10年で、リスクの見通しは全体的に経済リスクから環境リスクへと変化した。

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