• マネジメント

組織の「Shrink to Grow」による経営革新事業再生の手法を経営に生かす

松本 渉
松本 渉
パートナー / 東京オフィス

組織のShrink to Growとは

 
経営破綻した企業ではなく財務的に安定した企業であっても、事業再生の手法が有効になることがある。大きな成長を実現するために一度かがむ「Shrink to Grow」戦略が必要な局面だ。その際は組織構造改革(組織/ヒトのShrink to Grow)や事業ポートフォリオの再構築(事業/モノのShrink to Grow)、キャッシュフロー改革(財務/カネのShrink to Grow)などの抜本的な変革が必要で、事業再生局面にも劣らぬ危機意識と覚悟が必要だ。今回はそのうち組織構造改革について成功の要諦を述べたい。

BPRだけの組織構造改革は成功しない

 
組織構造改革ではまず、どれぐらいの組織規模へのShrinkを目指すのかという目標水準を定める必要がある。この際トップダウンとボトムアップの両方から検討することが重要だ。

トップダウンでは、自社の利益目標や事業構造からみてどの程度のShrinkが必要かを推計する。保守的な売上水準を前提にしても十分な利益が出るよう、逆算してあるべき組織規模を定めよう。驚くほどShrinkが必要だという認識に至ることが多い。どの組織を特にShrinkすべきかは他社のベンチマークも参照する。

他方、ボトムアップではいわゆるBPR(Business Process Engineering)などの手法を駆使し、業務と組織を効率化できる余地を徹底的に洗い出す。結果を積み上げてトップダウンの数字とすり合わせると大抵大きなギャップがある。そこでその差を埋めようとすると暗黙の制約条件に突き当たる。苦渋の決断をしながら制約条件を取り払ってあるべき水準に近づけていく。

企業によってはボトムアップだけで目標水準を定めようするケースがあるが、それでは大きな改革は実現しない。どうしても現行の業務や組織を守ろうという力が働いて目標水準が甘くなるし、戦略的な資源配分をするための創造的な発想も生まれにくい。

強力な司令塔機能で複雑なプロジェクトマネジメントを乗り切る

 
目標水準が決まったら実行だ。多くの企業は早期退職制度を適用するが、両刃の剣でもある。中核となるエース人材が多く流出してかえって組織が弱体化する恐れもあるからだ。Growに向けた魅力的な人事制度を並行してする導入するなどの打ち手が必要である。

他方、Shrinkに向けては痛みを乗り切る覚悟が必要で、優柔不断は禁物だ。法規制や企業倫理に抵触することなく、またレピュテーションを損なうことなく、どう乗り切るか。組合との交渉や従業員との面談をいつ・誰が・何回やり・何を伝えるのかを綿密に設計し、その進捗を見ながら複雑なプロジェクトマネジメントをやりきる必要がある。複数のグローバル拠点で同時に進める場合は一層複雑だ。面接者となる人も非常に強いメンタルプレッシャーにさらされるので、組織的なケアも必要になる。

企業によっては人材派遣会社のリストラクチャリング支援サービスに任せきりになってしまう場合があるが、上記の全てをカバーできるわけではない。全体を把握する司令塔機能を自社でしっかり持ち、強い意志と覚悟でやりきらなければ成功は難しい。

GrowのビジョンがShrinkを支える

 
組織構造改革はタフな仕事だ。辛さの余り、つい易きに流れて目標が甘くなったり、近視眼的に数字だけを追い求めて組織の体力を失ったりしがちだ。それを防ぐためには、Shrink後のGrowについて将来像をしっかり描き、経営陣でそれを共有し、ぶれることなく社内に発信する必要がある。

弊社もぶれないGrowの将来像構築に向けて経営者支援するとともに、逃げることなくShrinkの厳しい道程を伴走し、企業価値向上に貢献してまいりたい。

CATEGORY TOP
PAGE TOP