山本和一
山本和一
プリンシパル / 東京オフィス

最新記事「半導体不足 2023:苦闘は続く」の通り、昨今続く深刻な半導体不足は、コロナ禍の一服によるコンシューマー領域での需要の落ち着きや、大手各社の増産や、東アジアだけでなく欧米諸国での政策的な後押しを受け、収束に向かうようにも見えます。しかし、こと自動車業界向けでは引き続き需給は逼迫するとみられ、自動車OEMやサプライヤーは、短期的なサプライチェーンの安定化施策だけでなく抜本的な設計変更やサプライチェーン改革が必要とされています。

ここでは自動車業界にフォーカスし、「半導体不足 2023:苦闘は続く(レポート全文PDF:英語のみ)」*の要旨をご紹介します。

自動車業界にとっての半導体不足は短期的には解決しない

 
2020年以来の半導体不足は、家電をはじめとした消費者向けセグメントの需要安定化と、半導体メーカー各社の増産計画により、一見改善傾向に見えます。

しかし実際には、自動車需要は引き続き高く推移している一方で、半導体メーカーの増産計画の大半は、アドバンストノード半導体やメモリーやロジック等、通信機器・コンピュータ・家電に多く用いられている半導体です。自動車や産業用で使用されるアナログ半導体、マイコン等の増産計画は限定的であり、引き続き自動車業界での半導体不足は深刻といえます。

成長余地の大きい北米・欧州での半導体増産に向けた政策的な後押しも自動車業界向け半導体の供給不足解決には有効ではない

 
従来から半導体業界の強化に努めてきた日本、韓国、台湾、中国等の東アジア諸国に続き、北米・欧州でも域内の半導体生産乗り出す政策(米国のUS CHIPS法、EUの欧州半導体法、等)が加速しています。

しかし、各施策について、そもそも実現までのリードタイムが長く、増産実現は早くても2025年ごろとされています。加えて、政策的な後押しは、通信機器・コンピュータ・家電等に使用される先端半導体が大半で、レガシー半導体を多く使用する自動車業界の半導体不足の解決への寄与は限定的です。例えば、US CHIPS法で投入される5億ドルの公的資金のうち、レガシー半導体の対象となるのは5%程度、EU半導体法は現状の生産規模の小ささから、市場全体への影響は限られています。

自動車メーカー・サプライヤーは、車両設計の抜本的な変更による大幅な半導体使用量削減や、内製化も含む大胆なサプライチェーン変革が必要とされている

 
自動車メーカー・サプライヤーには、既に取組んでいるサプライチェーンの安定化に加え、レガシー半導体の使用を削減するための設計の変更や、半導体の内製化を含めた大胆なサプライチェーン変革への取組みが求められています。

例えば、先進的なOEMは既にドメイン型やゾーン型など、半導体使用量が少なく、かつ先端的な半導体を使用するE/Eアーキテクチャ導入に向け進んでおり、メガTier-1サプライヤーも当該ロードマップへの対応が進んでいます。

また、FordとSK Innovationの合弁事業やGeely等は、半導体の内製化を検討しており、安定確保に向けた取組みはグローバルに進展しており、日系企業としても後れを取らない対応が必要とされています。

*「半導体不足 2023:苦闘は続く(レポート全文PDF:英語のみ)」はこちらのページよりダウンロードいただけます。

(和訳要旨・共著:富田輝 コンサルタント / 東京オフィス)

 

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