By Uwe Hörmann
(英語版より翻訳・編集)
アフターコロナのワークプレイスは持続可能なスマートオフィスへ
新しいテクノロジーやサステナビリティへの関心が寄せられる中、オフィスやチームの管理方法も変化し、二酸化炭素排出量の少ない「スマートオフィス」の需要が高まっている。
オフィスビルは、ネットゼロ・エミッション目標を達成するための持続可能なイノベーションを、いち早く実現する鍵となるのだ。また、持続可能なビルは、運用コストを削減し、付加価値の高いサービスで収益を上げ、環境意識の高い企業を惹きつけることができる。つまり、サステナブルなスマートオフィスは、不動産業界と企業の双方にとって、魅力的なのである。
オフィス空間におけるサステナビリティのあり方
サステナブルなオフィス空間の特徴として、以下4つの要素が挙げられる。
1.カーボンニュートラル:すべての人々が二酸化炭素排出量を削減し、エネルギー効率の高い行動をとることができる。
2.資源の効率化:スマートオフィス技術を使うことで、資源を最高の水準で効率的に管理することができる。
3.エネルギープロシューマー(エネルギーの消費者かつ生産者でもある人): サステナブルなオフィス空間は、自然エネルギーをつくり出すだけでなく、余剰エネルギーを生み出し、それを市場で販売することもできる。
4.スマートシティへの対応:サステナブルなオフィスモデルは、スマートシティのソリューションにシームレスに統合され、より良いリソース管理を可能にする。
スマートなオフィスは、サステナビリティの目標達成にどのように役立つか
ビルや建築は、世界のエネルギー消費量の約36%を占めている。オフィスが、サステナビリティの目標達成のために大切な要素であるポイントを挙げる。
・モニタリング
スマートオフィスでは、IoTを活用して、活動や機能、資源の消費量などをモニタリングすることができる。さらに、外部のデータストリームを取り入れることで、これまでにないデータへのアクセスが可能になり、外部の人たちは豊富な情報を得ることができる。これらの情報がなければ、サステナビリティの目標を正確に追跡することはできない。
・透明性の確立
カーボンニュートラルなオフィスを拡大するためには、資源の消費と排出に関するデータの完全な透明性が重要である。これにより、スマートオフィスは消費量に対処するだけでなく、残りの排出量を自ら相殺することも可能になる。
・カーボンを相殺
例えば、スマートオフィスでは、個人のエネルギー消費量を把握することで、ユーザーに資源消費の削減を促すインセンティブを与え、環境に配慮した行動を誘発することができる。
・エネルギー効率の高い技術を応用
スマートなオフィスでは、オフィスから自然エネルギーを生産し、それを備蓄するストレージソリューションを備え、余剰分を大きなグリッドに分散させることができる。
・ビルを超えた統合
スマートオフィスは、グリッド内の他のビルと発電・消費能力を共有することで、セクターカップリングに貢献する。これにより、最大限の資源効率と、よりバランスのとれたエネルギー供給が可能となる。
今こそスマートオフィスへの移行を
パンデミックの影響で、不動産業界はより柔軟になり、企業は社員にとって魅力的なデザインになるようオフィスを見直す必要に迫られている。持続可能なオフィスは次のフロンティアである。
一般の人々からの働きかけであれ、政府からの働きかけであれ、建築分野での二酸化炭素削減対策の普及は避けられない。不動産の開発者や設計者は、新規オフィスビルの建設や既存ビルのアップグレードに対応した実行可能な戦略を立てることが望ましいだろう。
同時に、すでに導入されている技術の進歩に追いつくような規制も導入していく必要がある。建築分野におけるIoTやその他のデジタルイノベーションの導入は、今後数十年にわたってカーボンニュートラルを推進する上で重要な要素となるだろう。