ローランド・ベルガーによるヘルスケア分野の調査レポート『Future of Health』第3回目をお届けする。2019年、2020年の調査 を踏まえ、今回は「イノベーションがもたらした業界の変革」について考察した。下記に、サマリーをまずはまとめよう。
これまでのヘルスケア市場を進化させる原動力は、画期的な医療行為や医薬品、医療機器だった。しかし、現在は主に2つの「イノベーション(ここでは「新たな価値の創出」という意味で用いている)」によって、業界は新たな局面にある。
その主な2つとは、機械・電気・生物・化学といった分野の革新と、疾患の早期発見や人工知能といった技術革新である。前者を「フィジカル」、後者を「デジタル」とレポート内では呼ぶが、現在はこの2つが融合しつつあり、ペイシェント・ジャーニーのあり方を変えていると考える。
「フィジカル」の例を挙げれば、COVID-19 に対するmRNAワクチンの実用化など、イノベーションに富んだ分野における臨床研究の数は絶え間なく増え続けている。低侵襲性ロボット手術や画像診断、ラボ診断などの技術も、関連企業の堅調な株価の推移に反映されている。
「デジタル」では、デジタルヘルスケア市場に評価額10億米ドル以上の未上場スタートアップ企業、いわゆる「ユニコーン企業」が、Holon IQ社によれば2021年には世界に73社存在するという見通しを立てた。医療におけるデジタル変革に言及したニュース記事の数も、2019年から2020年にかけて約3倍に増加するなど、注目を浴びている。業界関係者は、2026年までにヘルスケア市場の12%をデジタルが占めると見ており、デジタルヘルスケアの世界市場規模は、約1兆ユーロを示すと予想した。
このような環境下で、製薬企業や医療機器メーカーは「フィジカル」と「デジタル」に関するイノベーションを牽引する一方、医療従事者やペイヤー(政府や保険会社など医療保険支払者)は、自分たちの役割を再定義することになるだろう。これまで以上に予測や計画が立てにくいなかで、新たなシナリオを検討し、迅速かつ多様に対応する能力を磨くことを求められる。
「フィジカル」と「デジタル」のイノベーションは、どのように相互作用しているのか。イノベーションが市場と経済に与える影響はどのようなものか。ペイシェント・ジャーニーは今後どうなっていくのか。各プレイヤーが影響力を拡大するための戦略とは何か──。
「フィジカル」と「デジタル」が融合することで促進されるヘルスケア分野のイノベーションについて、今回のレポートでは各種の調査データを用いながら、製薬企業、医療機器メーカー、ペイヤー、医療従事者といった各プレイヤーがどのように対処すべきか、といった見解を述べている。
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