COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)が、2022年11月6日から18日まで、エジプトの海岸沿いの町シャルムエルシェイクで開催されます。
ローランド・ベルガーは、昨年のCOP26(開催地: グラスゴー)に引き続き、COP27でも、気候変動対策がもたらす企業競争力強化の機会を示すとともに、効果的な脱炭素化、より持続可能で強靭な戦略、パリ協定目標実現に必要なツール、施策、専門性を提供します。
当社は「第13回サステナブル・イノベーション・フォーラム(SIF)」のヘッドラインパートナーとして参加する予定です。このセッションは、国連気候変動交渉の傍ら、過去12年にわたり、各国首脳、多国籍企業、環境大臣、ビジネスリーダー、投資家、NGOが一堂に会する機会となっています。
企業の気候変動対策がもつ可能性
温室効果ガス(GHG)排出の最大要因の一つとして、私たち企業は、特別な責任を負っています。気候変動を緩和する上で、企業の果たすべき役割は大きく、将来的にも多くの課題が待ち受けています。一方で、そこには変革・成功・競争優位に立つためのチャンスも多くあります。
世界中の多くの企業は、こうした方向に舵を切る必要性を認識しています。実際に、多くの企業が二酸化炭素排出量削減の措置をとっています。例えば、リサイクルや省エネといった、サスティナブルなオフィス習慣の導入を採用した企業もあれば、サプライチェーンの最適化や製品の見直しなど、より大規模な対策を講じた企業もあります。
一部の大手上場企業のうち約15%の企業が、2030年までに50%の排出量削減目標を掲げています。これらの企業が設定した目標値の合計だけでも、2030年までの世界の排出量を20%削減することにつながります。しかし、パリ協定の目標達成には、十分ではありません。企業は、気候変動対策を一層加速させる必要があり、重要なことは、この変革の大部分を今後5年以内に行わなければならないということです。
このままでは、今世紀末には地球の気温が2.6℃も上昇するという破滅的な事態が予想されています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書によると、パリ協定の目標を達成するためには、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を43%削減する必要があります。
現在のエネルギー供給危機は、脱炭素化計画にとって脅威となるように思われるかもしれません。しかし、気候変動対策の加速とエネルギー安全保障の必要性は密接に関連しています。むしろ、エネルギーの自立を目指すことで、新技術や低炭素化された電力とガスへのシフトが加速される可能性があります。
サステナビリティ対策は、ビジネス成長に不可欠
気候変動がサプライチェーンから政府の定めた規制、消費者の要望、収益性にまで影響を及ぼす中、企業が競争優位に立ち、さらなるビジネスの成長を目指すには、今すぐ行動を起こすことが不可欠です。サステナビリティ対策は、まさその機会を提供するものです。
私たちは、企業が有意義で持続可能なインパクトを生み出す可能性が最も高い6つのポイントを中心に、企業向けのコンサルティングサービスを提供しています。
・エネルギー脱炭素化: エネルギー消費量の削減・クリーンエネルギーへのアクセス確保
・クリーンテックのディリスキング(de-risking): スマートなリスク低減でクリーンテクノロジーの立ち上げを加速
・サプライヤーとの連携: 重要なサプライヤーを特定し、ターゲットを絞った方法で関わることにより、購入排出量の削減
・製品設計と循環型社会: 製品設計や材料構成の見直し、または循環型社会への対応により、製品の二酸化炭素排出量を抑制
・組織: サステナビリティを重視した企業文化で、社員の創造性を最大限に発揮
・気候変動対策のデジタル化: デジタルツールや人工知能を活用し、進捗状況を把握しながら、脱炭素化への道筋の最適化
COP27では、更なる手段や戦略を参加者と共有し、クライアントの皆様とも、引き続き活発な対話を進められることを願っています。
2028年までにネットゼロ(温室効果ガス実質ゼロ)を達成
ローランド・ベルガーは、気候変動対策のコンサルティングパートナーとして、「効果的な気候変動対策は、共同努力によってのみ達成できる」というCOP27の主張に賛同しています。
2020年、私たちはクライメイト・ニュートラル(気候中立)を達成しましたが、気候変動対策への取り組みは終わっていません。現在は、2028年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するという目標を掲げ、目標達成のためには、積極的かつ先見性のある対策を講じるとともに、進捗状況や削減目標の透明性を保つことも重要であると考えています。
私たちの前に立ちはだかる課題は、大変なものに思えるかもしれません。
しかし、幸いなことに、私たちは、この時代の最大の難問に立ち向かうための手段を数多く持っています。
この先の展開は、私たち一人ひとりが考え、行動を起こすかにかかっています。
‘THINK green, ACT clean’
※本記事は、英語版‘COP27: Think green, act clean’の抄訳をもとに掲載しています