マネジメント

Strategic Transformation4つの方向性と留意点

シニアフェロー/東京オフィス

国内市場の成熟化、技術進化のスピードは、企業経営に大きな変革を迫っている。既存の延長線上から抜け出し、事業構造の転換を図っていかなくてはいけない。大きくは4つの方向が存在する。

①「戦う土俵を拡げる」。中でも海外に活路を見出すM&Aは有力なオプションだ。昨今失敗事例に事欠かないが、事前の事業監査、シナジー検討、買収後のガバナンスに留意が必要だ。

②「戦う相手を減らす」。国内同業との統合はシェア向上につながり価格交渉で優位にたてる。また規模の経済が働き収益性が向上する。ただし効率化の断行が大前提だ。コストにメスを入れない限り収益性向上は持続せず、放置すると危機が再来する。

③「戦い方を変える」。ゲームチェンジャーになる。既存のビジネスモデルから抜け出すには、バリューチェーンを広く捉えて俯瞰することが必要だ。その上で顧客への価値創出を起点にバリューチェーンを組み替えないといけない。デジタル活用の視点も欠かせない。

④「戦う種目を減らす」。ノンコア事業を売却し資源をコア事業に集中する。大事なことは業績が良いタイミングで事業売却を行いコア事業に資源投下することだ。コアノンコアの考え方が明確になっていることも前提となる。追い込まれると虎の子を失うリスクに晒される。

これら4つの方向は、将来の危機を回避し優位なポジションに位置するために、今まさに覚悟をもって取り組むべき方向の一例である。戦略的危機に直面している多くの企業にとって時間的猶予はあまりない。大胆かつ迅速な経営判断が求められている。

 


SHARE THIS PAGE

CATEGORY TOP