消費財・小売 物流

Amazonが「世界最大の物流会社になる日」はそう遠くないはずだ

パートナー/東京オフィス

Amazonは物流拠点の自動化を大胆に進めている。2012年にロボットメーカーのKIVA Systemを買収し、既に3万台超の倉庫ロボットを配備した。2015年からは「棚から目的の商品を取り出す作業」を競争するロボットコンテスト“Amazon Picking Challenge”を開催している。物流拠点の装置産業化を他社に先んじて実現しつつあるといえよう。

Amazonが保有するものは物流拠点だけではない。米国では、既に自社トラックの運用を開始している。2016年にはリース契約で航空貨物機を確保した。一部地域では船舶の運用(NVOCC)も自前化している。ドローン配達の実現に向けては、開発機能さえも内製化した。そして、EC事業を通じて培った、各地域からの注文をAIが予測して事前出荷する「予測出荷システム」は自社で開発・運用している。

 

つまり、Amazonは物流サービスの提供に必要な設備を並の物流会社以上に持っている。加えて、ECというベースカーゴがある。そして、装置産業化を先駆的に進めている。自社用のクラウドシステムを他社に開放することで、圧倒的な高収益を実現しているAWSと同様の事業環境を自ら創出しつつあるのだ。遠からず、物流においてもその「空きスペース」を他社に開放するだろう。それは、既存の物流会社からすれば、有力な荷主がライバルに突如転ずることを意味する。

 

かつて、Amazonは小売の競争環境を一変させた。そして、近い将来、「世界最大の物流会社」となることで、物流ビジネスに破壊的な影響をもたらすはずだ。物流会社は、その「見えざる脅威」への備えを速やかに講ずべきといえよう。


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