2020年4月、東京発-ローランド・ベルガーは、新型コロナウイルスが与える経済インパクトに関するスタディ「COVID-19 Current status and economic impact」の和訳版「新型コロナウイルス 世界経済へ与えるインパクト」を発表いたしました。今回のウイルスが世界経済に与える影響について、産業別の分析及びリーマンショックとの比較を行っています。
要旨
新型コロナウイルスが世界経済に与える影響につき、「早期回復ケース(経済混乱が4週間継続)」「回復遅延ケース(経済混乱が12週間継続)」「世界恐慌ケース(さらに経済混乱が継続)」の3つのシナリオを想定した。
その中でも、回復遅延ケース(経済混乱が12週間継続)が現時点では可能性が高く、その際の世界経済へのインパクトを試算した。
2020年の経済成長率予測は以下のとおりである(コロナ発生前の予測値)
中国 : 2.5% (6.0%)
欧州 : -5.2% (1.0%)
米国 : -5.4% (1.7%)
世界計 : -2.1% (3.3%)
2008年のリーマンショックと呼ばれる金融危機では、世界的な貸し渋りにより需要減退とそれによる供給側の縮小が生じたが、今回は需要と供給の双方に直接影響し、事業やサプライチェーンの混乱を引き起こしている。
また、リーマンショック時は自動車と機械・エンジニアリング業界で特に深刻な影響が生じたが、今回は旅行・航空・小売・エネルギー業界で、リーマンショック時を大きく上回る影響が生じると予測している。
このような経済環境下で、各国はリーマンショック時を大幅に上回る経済対策を施しているものの、コロナ感染拡大を防ぐ対策を優先するため、経済回復への効果は弱まっている。
こうした状況をふまえ、企業は短期的な資金確保や事業継続といった足元の対策を行うと共に、コロナからの回復を見据えた中長期目線でのシナリオ分析、ポストコロナを見据えた事業回復プランの検討が求められている。
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