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2020.05.26

新型コロナウイルス これからのリスクマネジメントのあり方はどうあるべきか

2020年5月、東京発-ローランド・ベルガーは、最新スタディ「新型コロナウイルス これからのリスクマネジメントのあり方はどうあるべきか」を発表いたしました。本スタディでは、今回のウイルス感染拡大の企業経営、サプライチェーンに与える多大なる影響を踏まえ、新たなリスクマネジメントのあり方として、競合をも含む企業間での連携を基にした“協調型リスクマネジメント”を提案しています。

今回、新型コロナウイルスの影響を包括的に分析したレポートを全5本、無償で公開する中で、この「これからのリスクマネジメントのあり方はどうあるべきか」はその最終回となります。

弊社としては、今回のウイルス感染拡大により多くの日本企業が深刻な打撃を受ける中で、各企業が当面の危機を乗り越えると共に、新型コロナウイルス終息後に前例なき変革の波に柔軟に対応することで、更なる成長に繋げられるよう最大限の支援をしたいと考えています。
本レポートが事業の意思決定の一助となり、広く日本社会に貢献できれば幸いです。

要旨
コロナウイルス(以下COVID-19)の感染拡大を発端にした危機的事象を背景に、従来のリスクマネジメントのあり方を競合をも含む企業間での連携を基にした“協調型リスクマネジメント”へと進化させ、産業としての競争力を向上させるべき局面に来ていると考える。そして、この新たなリスクマネジメントの構築は、日本企業固有の特性に応じた実行や進め方が必要になる。
今回、弊社は新たな“協調型リスクマネジメント”のコンセプト及びその要諦、それが実際に実行しうるための戦略的なアプローチを提案したい。

COVID-19の流行は、足許で世界経済に深刻な打撃を与えており、近年日本でもCOVID-19に止まらず大規模な地震、台風・集中豪雨による水害や土砂災害等、様々な危機的事象に直面している。
また、サプライチェーンのグローバル化により海外での危機が日本企業に与えるダメージも増大し、危機的事象の発生が自社のサプライチェーンひいては企業経営に影響を及ぼす頻度と深刻度が増大していると言えるだろう。

翻って、そういった危機的事象の発生に対応するためのリスクマネジメントは、本来「競争領域」ではなく、今後は他社と手を携える「協調領域」として捉えるべきではないだろうか。
今後、自社の事業継続のみを主眼とした従来型のリスクマネジメントでは対応しきれない危機的事象が増えると予想され、企業間の垣根を超えた“協調型リスクマネジメント”への進化は、事業継続性を高めるために不可欠といっても過言ではないだろう。

“協調型リスクマネジメント”を実現するにあたっての要諦は、「A. 業界内連合の創成」、「B. ニューノーマルの定着」、「C. デジタル技術の活用」の3つである。

A. 業界内連合の創成:各企業が個々に作成していた「BCP(事業継続計画)/BCM(事業継続管理)」を業界内の企業連合として一本化し、共同体制で対応できる仕組みを構築すること。
– “協調型”に必要な機能・役割分担を定義し、加えて政府機関や業界団体をも巻き込んだ連合を形成
– また、企業連合は「自動車業界」や「製薬業界」といった、調達先や納品先が共通する業界単位が妥当

B. ニューノーマルの定着:危機対応を通常の日常業務に組み込むことで、対応力を高めるとともに、日常業務の高度化も実現しようとする取り組み
– 一定の非効率は許容しつつ、定常時にテレワーク等の危機対応時の業務を段階的に導入
– 実践・運用を通じて明確になる非効率を更なるBPRによって継続的に改善し定常時の効率性を担保

C. デジタル技術の活用:コミュニケーションのデジタル化、クラウドの活用等、ヒト・モノ・情報/データ連携のためのデジタル技術の有効活用
– 業界内連合での情報・データ連携におけるコミュニケーション・管理を徹底的にデジタル化
– 「情報・データ」は、IoTの活用・クラウドの拡大により危機的事象が発生したときの堅牢性を担保

COVID-19の流行により広く多くの企業が打撃を受けたからこそ、Post COVID-19 に向けては“協調型リスクマネジメント”を導入する好機であり、業界全体として新たなリスクマネジメントの仕組みを構築することができれば、危機的事象への対応力のみならず、産業としての競争力をも高められるはずである。

ただし、このような自社・競合の垣根を超えた協調を必要とする新たなリスクマネジメントの構築に向けては、日本企業は予てより強い自前主義、企業間で牽制し合う構造、ボトムアップ型の意思決定スタイル等の課題が存在する。そういった課題に配慮して実行を推し進めるには、まず小規模の有志のみで組織を迅速に組成し、協調すべきサプライチェーン上の機能や経営資源の範囲はスモールスタートで段階的に拡大することが重要であると考える。

最後に、“協調型リスクマネジメント”への移行には、トップの強いリーダーシップや高いコミットメントによるチェンジマネジメントも同時に必要となることだろう。

COVID-19の終息後、多くの企業ではリスクマネジメントのあり方を見直すことになるだろう。しかし、その取り組みが単にパンデミックへの対応策を強化・拡充するだけであるとすれば、多発化・深刻化する「次なる危機」に対応できない。企業のリスクマネジメントのあり方はこれまで以上に大きな変革を迫られ、“協調型”に向けて一歩を踏み出す企業の危機的事象に対するレジリエンス(回復力)は一段と高まることだろう。

※本スタディはこちらよりご覧ください

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