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アパレル市場を科学する

ローランドベルガー

福田 稔

同市場を取り巻く環境、トレンドを概観し、国内アパレル企業の将来の成長に向けた方策を示します。

国内アパレル市場の全体像

●国内アパレル市場の市場規模は約9兆円(2014年)。今後の市場は微減で、2014-2017年の年平均成長率は▲1.0%

●同市場は3つの市場より構成。主要価格帯別に、ラグジュアリー市場、トレンド市場、マス・ボリューム市場である。各市場規模は、ラグジュアリー市場が1兆円、トレンド市場が2.6兆円、マス・ボリューム市場が5.3兆円

●市場は2極化。2014-2017年の各市場の年平均成長率は、ラグジュアリーが0.0%、マス・ボ リュームが▲0.5%なのに対し、トレンドは▲2.4%と縮小傾向

●国内のアパレル市場全体では、男性向け12セグメント、女性向け11セグメントがある。 そのうち、トレンド市場には、男性向けで9つのセグメント、女性向けで8つのセグメ ントが存在。各セグメントは異なる価値観・ライフスタイルを持つ

●トレンド市場の攻略に向けては、上記の顧客セグメントに対する理解と、顧客接点を通じて同じメッセージを訴求していくという一貫性のあるブランディングが必要

顧客接点を通じたブランディングが鍵

ブランドイメージを消費者の心の中に構築することが欠かせない。そのためには、消費者の価値観上の訴求ポイントを明確化した上で、あらゆる顧客接点を通じて同じメッセージを訴求する一貫性のあるブランディングが求められる。特に、店舗とデジタルメディアが顧客接点として重要である。

海外市場でも市場の理解が重要

現在世界最大のアパレル市場は米国で、日本は第3位であるが、2020年には第1位は中国となり日本は第5位に落ちる。この市場を獲るべく多くの日本企業が進出しているが、トレンド市場においては失敗が後を絶たない。現状では、国内での勝ち残り、海外での成長のいずれをとっても市場に対する理解は大前提となる。そのため、日本のアパレル企業はより消費者起点の科学的なアプローチを導入し、市場への理解を進めるべきである。そして、元々の強みであるクリエイティビティやものづくり力との掛け算で、グローバルブランド創出に向けたチャレンジが求められる。