シニア パートナー

田村 誠一

公平で民主的な会社

 
これまで、外資系戦略コンサルや官民ファンドといったプロフェッショナル組織、更には複数の日本の上場事業会社など様々な場所に身を置いてきましたが、ローランド・ベルガーほどの公平で透明性のある会社はなかなか稀有な存在だなと思います。

2年前にベルリンでのグローバルのパートナー会議に初めて参加したときにも、その民主性に驚きました。変革期にあるコンサルティング業界において、ローランド・ベルガーはどのような方向性を打ち出していくべきか、会議でトップの意思が示されるのかと思っていたら、これから各国のパートナーの意見を集約したうえで練り上げていくという話がありました。トップダウンで一方的に物事を決めるのでなく、一定の規律の下、各国・各パートナーには自由と責任の原則が徹底されています。

オフィス内の上下関係も、ポジションに分け隔てがありません。指揮系統はもちろんありますが、互いを尊重して仕事をしています。人事評価も、ひとりひとりの成果が全員に可視化された上で議論される、誠実な仕組みが維持されています。

知識を伝えるのではなく、キャッチボールができる人

 
ローランド・ベルガーは「議論」を大切にする社風ですが、コンサルタントとして一番大切なスキルもまた、「議論力」だと私は思っています。「議論」できるコンサルタントであるためには、「聴く力」と「多様な視点」が必要です。

1つ目の「聴く力」。コンサルタントの本質的な能力は、極論すれば、データ情報や知識を精緻華麗に分析して伝授するとか、自分が組み立てた論理を説得力をもって伝えるとか、そういうこととは関係ありません。

クライアント企業は、何度もトライして越えられなかった課題を我々に投げかけてきます。瞬発力に頼った表層的な解決策など、なんの価値もありません。クライアントの言葉の裏に隠された様々な背景をきちんと理解するために、まず「聴く」。黙って「聴く」。その上で、解決策ではなく、課題認識を広げる問いかけやアイディアをぽんと投げ込んでみる。それに対して先方が「想い」投げ返してくる。また「聴く」。そしてこちらからも投げ返す。このやりとりを繰り返す中で、進むべき方向がクリアになっていく。そういった感覚をお互いに味わえた時、コンサルティングは成功したと言えるのです。

多様な経験を積むことで議論の幅を広げる

 
2つ目の、「多様な視点」には、やはりいろいろな経験をすることが必要です。私自身は、戦略コンサルタントとしての経験に加え、事業投資や事業再生、事業マネジメントやスタートアップ企業の役員など、様々な立場に身を置くことで、強制的に視野を広げてきました。

とはいえ、一人が経験できることには限界があります。だからこそ、ローランド・ベルガーでは、多様な分野での経験者を積極的に採用しています。また、副業に関するルールも検討していますし、一度社外へ出て他流試合経験を積んでからの出戻りも歓迎しています。

コンサルティングの仕事以外で得た経験を持つメンバーと議論を戦わせ、他流試合を疑似体験する。そうやって、コンサルタントとして成長していくことができるのではないかと思います。

パートナーやプリンシパルにも多様性を

 
東京オフィスでは、様々なバックグラウンドを持った方のパートナー/プリンシパル採用も積極的に行っています。私を含め、いろんな経験を持つ人がパートナーやプリンシパルとして活躍し始めています。

価値共創ネットワークという試みもさらに多くの社外プロフェッショナルと協働することで付加価値を増幅させていこうという取り組みです。クライアント企業が、異分野へ投資したり、オープンイノベーションをしたりと、企業の垣根を越えて活動しているのに、コンサルティングファーム側が閉じていては提供価値は逓減していきます。自由度高く、我々自身がオープンイノベーションの起爆剤にになっていってもいいと思っています。

様々な分野のプロフェッショナルが強みを持ち寄り、議論によって価値を増幅させ、クライアント企業のスパーリング・パートナーとなっていく。そういう組織でありたいと思います。