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【視点130号】日本企業に必要な「自発的変革力」

ローランドベルガー

渡部 高士

本稿では、市況に恵まれている現状を分析し、中長期の持続的な成長に向けての成長モデルの描き方について論じています。提携企業との具体的な事例も紹介します。

  • 1)国内上場企業のうち売上成長・利益率向上を両立できたのは24%
  • 2)売上成長が困難な要因は、長年にわたる事業構造改革による事業の成熟化
  • 3)新たな成長基調に転換するには自社の変革に加え他力の活用も一案

 

 2017年度の各社業績が続々と発表されているが、アベノミクスに代表される経済政策、円安・原材料価格の低下といった市況による追い風もあり、多くの企業において、営業利益額は大幅に向上している。

 しかしながら、2010~16年度の国内上場企業3291社の分析を行ったところ、売上成長と営業利益率を両立した企業は、国内全上場企業のうち24%の804社に留まっている。ある意味、新たな事業の創出による営業利益額の増大というよりは、構造改革が進んだ日本企業において、為替等の外的要因により業績が押し上げられている、といえる。

 一方で、構造改革を推し進める中で、各企業における事業ポートフォリオは成熟化する傾向にあり、有望な次の柱が育っていない、もしくは将来を支えきれない状況にある企業が多いように思う。

 本稿においては、現状の好況の中で、次の柱をどのように構築していくべきかについて、取り組み事例からそのヒントを紹介する。中でも、他力を活用した新たな柱の構築、さらには事業モデルの転換を図る方策について触れる。